多くの乳幼児が経験する指しゃぶりは、
生まれてすぐの頃から見られる
自然な行動のひとつです。
安心感を得るための自己安定手段であり、
眠気や退屈、不安などの感情に対処するために
行われることが多いものです。
そんな中で、
お子さんの成長を実感しつつも、
小学校に進学しても続く指しゃぶりに
悩む保護者の方は少なくありません。
ネットで調べて
「愛情不足が原因かも」
という情報を目にし、
スキンシップを意識して増やしてみたものの、
期待したような変化が見られず
不安が募るケースもあります。
また、指しゃぶりが長引くと、
発達障害の可能性を心配する保護者もいます。
しかし、指しゃぶりの有無だけで
発達障害と結びつけてしまうのは早計です。
もし発達のことで気になる点がある場合は、
医療機関で専門的な評価を受けるのが確実な方法です。
専門家による診断を通じて、
必要に応じた支援やアドバイスを受けられます。
本記事では、
指しゃぶりが続く理由や心理的背景、
そして保護者ができる支援の方法
について解説します。
実は、当の本人（筆者）も指しゃぶりが止められず
私の場合、その行為は間違いなく
「心の拠り所・安心感」であったと思います。
変な話ですが、
成長と共に「自然と止める」に至ったのは
不確かな記憶によると、中学一年の時でした。
指しゃぶりへの理解と適切な対応
まず大切なのは、
親が落ち着いて接すること。
イライラした態度は子どもに伝わり、
かえって指しゃぶりを強化する可能性があります。
穏やかな関わりが、
安心感につながります。
子どもが指を口に持っていきそうな瞬間に、
「今日学校どうだった？」
といった質問で
自然に話題を変えることで、
意識をそらす手助けができます。
また、
無意識に指を吸っている子どもに対しては、
「それっておいしいの？」
と冗談まじりに声をかけてみるのも一つの方法です。
行動を否定せず、
さりげなく気づかせることが重要です。
子どもは親からの注目と愛情を常に求めています。
日々の些細な成長や努力を見逃さずに
言葉で伝えることが、安心につながり、
結果として
指しゃぶりの頻度を減らす一助になります。
絵本でのアプローチ
たとえば絵本『ゆびたこ』は、
指しゃぶりという行動をユーモアを交えて描き、
子どもがその意味や背景を
自分なりに捉え直すきっかけを与えてくれる一冊です。
この本の特徴は、
押しつけることなく、自然な形で
子どもの意識に働きかける点にあります。
親子で一緒に読み進めながら、
「指しゃぶりってどうしてするのかな？」
「どんな気持ちのときに指をしゃぶりたくなるの？」
といった対話を重ねることで、
子ども自身の気づきを促すことができます。
読み終えた後も、
「次に指しゃぶりしたくなったら、
あの子みたいにどうする？」
と話題を広げることで、
継続的な意識づけが可能です。
このように、
絵本はただ読むだけでなく、
子どもの心に
自然に働きかけるツールとして非常に有効です。
心配や不安を感じたら
指しゃぶりに悩む保護者の中には、
周囲の理解が得られず孤独を感じる方もいます。
「そんなのやめさせればいいじゃない」
といった言葉に傷つくこともあるでしょう。
そんなときは、
相談窓口を活用するのが有効です。
例えば、
お住まいの地域の自治体が運営する
「子育て支援センター」では、
保育士や心理士による
無料相談を受けることができます。
また、
NPO法人などが運営する
「子育てホットライン」や
「ママの駆け込み寺」といった
電話・オンライン相談サービスも、
心の整理に役立ちます。
誰かに話を聞いてもらうだけでも、
気持ちが楽になることがあります。
指しゃぶりが続く心理的背景
なぜ小学生になっても指しゃぶりを続けるのか。
その背景には、
安心感を求める気持ちがあります。
指しゃぶりをすることで、
リラックスに関わるホルモン
（例：オキシトシン）が分泌され、
子どもは安堵感を得ています。
また、
退屈なとき、眠たいとき、不安なときなど、
特定の状況で無意識に指しゃぶりをする習慣が
身についていることもあります。
これは自己調整の手段として機能しているのです。
指しゃぶりが
安心感やストレス緩和につながることが分かる一方で、
その習慣が成長に伴って
どのような影響を及ぼすのかを理解することも重要です。
背景を正しく把握することで、
今後起こりうるリスクに対し、
どのように対処すべきかを
具体的に考えるヒントが得られるでしょう。
指しゃぶりのメリットとリスク
自己安定の手段となる指しゃぶりですが、
長期的に続くと歯並びへの影響や
衛生面でのリスクも懸念されます。
前歯に負担がかかって出っ歯になったり、
指を通じた感染のリスクが高まることもあります。
また、
年齢が上がると周囲との違いが目立ち、
いじめやからかいの対象になることも。
そうした社会的な影響を考えると、
親の適切なサポートが求められます。
どのように卒業をサポートするか
まずは子どもがどんなときに
指しゃぶりをしているのか
観察することから始めましょう。
不安やストレスを
感じている場面と関連があるなら、
その感情を和らげるようなサポートが効果的です。
「指しゃぶりやめなさい」
と繰り返すのではなく、
「今日はいっぱい頑張ったね」
「ゆっくり休もうね」
といった前向きな声かけが、
子どもを安心させ、行動の変化を促します。
発達障害との関係は？
指しゃぶりが長く続くことで
発達障害を心配する声もありますが、
それだけで判断することはできません。
発達障害の診断は
多角的な評価を必要とするため、
専門家による判断が不可欠です。
感覚過敏やストレスへの反応として
指しゃぶりが現れることもありますが、
それが即座に発達障害を示しているとは限りません。
気になる点があれば、
小児科や発達支援センターに相談してみましょう。
おわりに
指しゃぶりは、
子どもが自らの安心感を確保するための自然な行動です。
無理にやめさせようとするのではなく、
子どもの気持ちに寄り添い、
少しずつ卒業に向かえるような関わり方が大切です。
保護者の穏やかなサポートが、
子どもにとって大きな支えになります。
焦らず、親子で歩むその過程こそが、
何よりも価値ある時間になるでしょう。
まずは「今日からできる第一歩」として、
子どもの行動を1日3回観察してみましょう。
どのような場面で
指しゃぶりをしているかを知ることが、
次の対応へつながります。
日記に記録しておくのもおすすめです。
小さな気づきが、
習慣の変化へのヒントになるかもしれません。
